内職ワーク図鑑・内職仕事や在宅ワークの新しいカタチを知りたい方に役立ちそうな本を集めてみました。
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2006年4月14日16時52分
時点のものです。

時間の止まった家 「要介護」の現場から

時間の止まった家 「要介護」の現場から

人気ランキング : 60,592位
定価 : ¥ 756
販売元 : 光文社
発売日 : 2005-02-16

価格 商品名 納期
¥ 756 時間の止まった家 「要介護」の現場から 通常24時間以内に発送
赤裸々ながら面白く読める

 本書は医師である著者が実体験としての公衆衛生現場での(というよりも、介護現場での)出来事を真正面から捉えて記したものである。コロモジラミから疥癬までにハマり、現在は熱帯医学を専攻して世界レベルで活躍するパワフルな著者は私の知り合いであるために公平な視点ではないかも知れないが、率直に臨床医が社会的問題に直面する現場に赴いた際の様々な苦労が「介護」という内容にスポットライトを当てて具体的に描かれていることは事実である。
 非常に面白い箇所や深くて重い文脈もあるが著者の感性と文才には脱帽するばかりである。大都市が抱える草の根レベルでの若い医師による活動の声が率直に届く唯一とも言える機会であり、現実的な内容に関する描写は非常に興味深い。本書は正直に時間をかけて読むに値する価値を持っているものと信じて疑わない。介護に関わる方々や地域密着型の保健福祉を志す若い皆さんにはオススメしたい。

不思議な人たちの巣穴

孤高の小説家、フランツ・カフカの短編に「巣穴」という作品がある(池内訳『カフカ寓話集』岩波文庫、1998)。筆者の一眼レフと、観察眼にとまった「家/住処」を想い描くと、「巣穴」を一心不乱に造り上げる野ネズミ(だったかな・・・)のイメージが重なってしかたがなかった。自己の存在を、誰に訴えるでもなく、でも、確認したくてしかたがない。そんな悲しい社会的な人間が、孤独のなかでもがいているトポス。関なおみ著「時間が止まった家」に登場する家/住処の時空間は、まさに不思議な人々の巣穴である。
不思議な人たちの不思議さは、まるで多様で、一筋縄ではいかない。日本で初の医師が加わった精鋭チームは、突然飛び込んでくる介護相談その他諸々の難題に果敢に挑む。その行動力が、筆者が言うようにこのチームの売りだ。それぞれの専門性、比較優位性、培ってきた経験、処遇。それらが、一つのあるいは複数の課題に向けて、様々な組み合わせ、波及効果を見せるのだ。そして、丹念に、諦めることなく、優しく、しぶとく、ケースと係わっていく。達成感だけではない。時には無力感や徒労感を抱きしめながら、スタッフは自分の、自分たちの仕事に向かっていく。本書のもう一つの主題ともいうべき、導入間もない介護の現場での群像劇が活き活きと描き出されていることも、間違いなく本書の魅力である。
時間が止まった家に棲む不思議な人たちと、彼女ら/彼らに仕事として係わっている専門家チーム。両者を、あるときはユーモアをたたえ、あるときは突き放して、貴重な現場レポートは続く。そこには対象と寄り添うことに徹底する優しい眼差しと、あくまでもプロフェッシナルとして取り組む一貫した筆者の姿が見て取れる。ナラティブ・セラピー、共依存、あるいは最新の医療知識が、所々にキラリとひかり、作品を単なるドキュメンタリー以上のクオリティーに仕上げている。

著者自身の「家」は、どんな家だったんだろう。

「逸脱から見えるもの」という切り口にとても惹かれたので、思わず買ってしまったが、中身は考察不足で多少もの足りなかった。
介護保険制度から取り残された「困難ケース」の数々は、実態を知らない一般人としては衝撃的だったが、そこにある「スタンダードが見落としてしまった、何か非常に重要な可能性」とは、いったい何なのか、もう少し掘り下げてもらいたいところ。
困難ケース紹介の最後の事例として、著者自身のことを書いているが、仕事の話ばかりで、「家から脱出したかった」という著者自身の「家」については、何も書かれていない。あとがきによると著者は「『家』に対する不信感が強く、居心地がよくなかった」ので「友達の『家』を泊まり歩くようになった」そうだが、ここまで聞くといったいどんな家に育った人なのか知りたいところだ。他人の家のことを写真付きでこれだけ書いているのだから、自分の家についても赤裸々に書いてほしかった。著者自身の家が読者に見えてこないと、「『家』を疑え!」「今こそ『家』からの自立を」という著者の提言も、パンチが欠けてしまう。
事例紹介としては、保健・福祉関係者には有益な本なのかもしれないが、とくに身につまされるような事情がない一般の人が読むとTVのゴミ屋敷特集と変わらないかもしれない。それはそれで興味本位としては面白いけど。「はじめに」と「あとがき」を読めば、著者の言いたいことはわかるし、中身にもそれ以上のことは書いていない。個々のケースに関心がない人は立ち読みで済んでしまうかも。
とはいえ、「逸脱した家」というテーマは非常に興味深いので、著者ご本人、あるいは他の専門家が、この本が言いかけたことをさらに追っかけて、発展させてほしいと思う。


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